ブックタイトル金沢大学広報誌|アカンサス No.39
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金沢大学広報誌|アカンサス No.39
03PROJECT薬物動態を基盤とする医薬品の安全性に関する研究拠点形成(平成26年度~平成28年度)一人一人に合った安全な医薬品の開発に向けて医薬保健研究域薬学系事業代表者:中島美紀教授04PROJECT非接触原子間力顕微鏡/走査型トンネル顕微鏡で拓くボトムアップナノテクノロジー(平成25年度~平成27年度)オリジナルの顕微鏡でナノの世界を切り拓く理工研究域数物科学系事業代表者:新井豊子教授物質を原子や分子のスケールで自在に制御する技術,ナノテクノロジー。そのナノテクノロジーの中でも,近年最も期待されている中心的技術が走査型プローブ顕微鏡(SPM)です。電流の流れる探針と試料との間に電圧をかけ,その電流から原子の状態を拡大観測する走査型トンネル顕微鏡(STM)と,探針で原子間の力を計り,原子の形状を検知する非接触原子間力顕微鏡(nc-AFM)は,原子尺※1度の空間分解能で表面観察や解析が可能です。さらに,原子の並びを針で動かして新たな構造を作る原子操作ツールとしても応用できることから,特に注目を集めています。本事業では,顕微鏡に用いられる探針部分の調整技術の確立と,長時間安定して任意の低温を維持する冷凍機を備えたLT UHV nc-※2AFM/STMの開発を試み,これらの研究を先導しているドイツの研究機関へ若手研究者を派遣して,共同研究を行いました。事業の最終年度には,オリジナルで設計した冷凍機部分が完成し,現在はその冷凍機に装着する顕微鏡が正常に動くかどうかの確認を行っています。今後,これらの技術を用いて新しいナノ構造を作り出し,これまでになかった夢の量子デバイスが誕生することへの期待が高まります。共同研究で完成した冷凍機※1空間分解能:位置的に接近した2点を独立した2点として見分ける能力。※2 LT UHV nc-AFM/STM:原子のあるがままの状態を観測しやすい極低温(LT)かつ超高真空(UHV)環境で作動するnc-AFMとSTMの両機能を兼ね備えた顕微鏡。639