ブックタイトル金沢大学広報誌|アカンサス No.39
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金沢大学広報誌|アカンサス No.39
世界に広がる金沢大学の研究ネットワークInternational Research Network02PROJECTエアロゾルが引き起こす大気?海洋?生態系反応に関する国際研究拠点形成(平成27年度~平成29年度)東アジアから世界へ統合的なエアロゾル研究環日本海域環境研究センター事業代表者:早川和一特任教授大気中を浮遊する微小な粒子「エアロゾル」は,雲ができるときの核として気候変動や天候に影響を与え,また,エアロゾルに多く含まれる鉱物などの無機化合物は,海洋微生物の主要栄養源になっています。一方で,PM2.5※1や黄砂,バイオエアロゾルなどの有害性エアロゾルが大気?河川?海洋を通じて越境輸送され,広域でヒトの健康や生態系に悪影響を及ぼすことが懸念されています。金沢大学環日本海域環境研究センターは,東アジアの研究機関を中心とした環境に関する国際共同研究ネットワークを形成しており,その中でエアロゾルに関する共同研究を推進しています。本事業では,エアロゾルの越境輸送プロセスや気候?健康?生態系への影響のさらなる解明を目指し,大規模大気観測やエアロゾル解析などで優れた業績?技術を有する海外研究機関との共同研究を実施。ニュージーランドでは,本学から派遣された若手研究者が,オーストラリアの砂嵐と東アジアの黄砂の比較によって大陸?列島間のエアロゾル長距離輸送プロセスを解明する研※2究や,PAH類を取り込んだ海産動物の遺伝子変化を解析して海洋生態系への影響を探る研究に取り組んでいます。また,オーストリアの研究機関と連携し,互いの優れた技術を組み合わせ,エアロゾル中から特定の微粒子を分離する新たな技術を開発中であり,アジア地域の大気中の毒性化学物質の測定?分析などへの活用が期待されています。これらの共同研究によって,本学のエアロゾル研究は飛躍的に発展。さらに,本事業により派遣先研究機関との連携がさらに強固なものとなり,現在,東南アジアをフィールドとした大規模な国際共同研究の実施などが検討されています。将来的には,本学を拠点とした世界規模の研究ネットワークの下,世界各地の環境問題の解決につながる,優れた研究成果を広く発信していきます。※1バイオエアロゾル:生物に由来する有機物粒子の総称で,細菌やカビ,ウイルス,あるいはそれらの死骸などが含まれる。※2 PAH類:多環芳香族炭化水素(Polycyclic Aromatic Hydrocarbon)類の略称。排気ガスなどの主成分とされ,肺がんやぜんそく,心筋梗塞などとの関連性が指摘されている。共同研究の連携体制ニュージーランド沖での海洋調査世界規模の国際研究ネットワークを構築エアロゾル研究の国際研究拠点に発展ウィーン大学(オーストリア)●エアロゾル捕集技術●大気モデル解析連携金沢大学【アジアのエアロゾル研究拠点】東アジア大気PAH/NPAHモニタリングネットワーク日本韓国中国ロシア統合的なエアロゾル研究連携オークランド工科大学(ニュージーランド)●微生物解析技術●大型海洋生物研究連携カリフォルニア工科大学(米国)●航空機観測●疑似環境実験Pick Up!環日本海域環境研究センター(センター長:長尾誠也教授)日本海を取り囲む地域(環日本海域)の環境問題に対して,大気環境領域,海洋環境領域,陸域環境領域,統合環境領域の4つの研究部門から多角的なアプローチを行っています。また,実験?研究施設として,能登大気観測スーパーサイト,臨海実験施設,低レベル放射能実験施設,尾小屋地下測定室,植物園を有します。平成28年4月には,文部科学省の共同利用?共※同研究拠点として認定され,能登半島地域の実験フィールドと国際共同観測ネットワークを広く学内外に開放しています。※共同利用?共同研究拠点:日本の国公私立大学の附置研究所?施設のうち,大学の枠を越えて全国の研究者が共同利用できる拠点のこと。環日本海域環境研究センターWebサイトhttp://www.ki-net.kanazawa-u.ac.jp/395