朝食の欠食と遅い夕食が蛋白尿出現と関連

掲載日:2020-11-10
研究

金沢大学附属病院栄養管理部の徳丸季聡栄養管理室長,金沢大学附属病院先端医療開発センターの遠山直志特任准教授,和田隆志理事(研究当時:金沢大学医薬保健研究域医学系教授)らの研究グループは,一般住民の健康診断データを用いて実施した追跡調査の結果から,朝食の欠食などの好ましくない食習慣が,蛋白尿の出現に関連していることを明らかにしました。

蛋白尿とは,腎臓や泌尿器の機能障害によって一定量以上の蛋白質が含まれる尿のことです。蛋白尿は末期腎不全や心血管疾患につながるため,その発生を予防することは,私たちの健康にとって大変重要です。蛋白尿の発生予防は,一般に肥満の是正や減塩などが有用と考えられており,多くの自治体では健康診断後に必要に応じて肥満是正や減塩の指導が行われています。しかし,食習慣と蛋白尿発生の関係は,十分に分かっていません。

本研究グループは,健康診断時の問診票にある (1) 朝食の欠食(朝食を抜くことが週に3回以上ある),(2) 遅い夕食(就寝前の2時間以内に夕食をとることが週に3回以上ある),(3) 早食い(人と比較して食べる速度が速い),(4) 夕食後の間食(夕食後に三食以外の夜食をとることが週に3回以上ある),の計4つの好ましくない食習慣が蛋白尿の出現と関連しているかを明らかにするため,金沢市医師会の協力のもと,金沢市の40歳以上の2万6,764人の住民を対象とした観察研究を実施しました。その結果,朝食の欠食と遅い夕食は蛋白尿の出現と関連していることが分かりました。

本研究の成果は,蛋白尿の予防のためには,食事の量や栄養素のバランスだけでなく,食習慣の改善が重要である可能性を示します。本研究成果は今後,健康診断後の生活指導や病院で行われる栄養指導の発展につながることが期待されます。

本研究成果は,2020年8月19日に国際学術誌『Nutrients』のオンライン版に掲載されました。

 

 

 

Nutrients

研究者情報:遠山 直志

研究者情報:和田 隆志

 

 

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