6月18日,サテライト?プラザにて公開講座「高校生から分かる法学?政治学の諸問題」を実施し,高校生から80代までの一般市民21名が参加しました。
前半に,人間社会研究域法学系の石尾智久講師が「SNSで悪口を書かれたら?-デジタル社会における法の役割-」の講義を行いました。石尾講師はまず,刑事責任と民事責任の違いを説明し,名誉毀損や名誉感情の侵害に対してどのような法理論が適用されるかを解説しました。その上で,インターネットという媒体の特徴を踏まえつつも,SNS上の誹謗中傷などに対しては,既存の法理で解決されうるという見解を示しました。
後半では同じく人間社会研究域法学系の早津裕貴准教授が「学校の先生の働き方はブラック?-公立学校教員の労働時間問題について考える-」の講義を行いました。早津准教授ははじめに,労働時間?残業?残業代の法的な規程を紹介。続いて教員が多忙化しているのに,特給法※により教員には残業代が払われていない現状を解説し,教員の労働を自主的?自発的なものとみなす判例を紹介。そして,政府の「働き方改革」が抜本的改革に至っていない現状を指摘する中で,真の解決のための視点を複数提示して講義を締めくくりました。
受講生からは「働いたことがなかったり,法についてふれたことのない私でもわかりやすく説明されていて,とても面白かった」「教育は身近な内容で,労働問題も自分の身に振り返っていろいろ考えるところがあった」といった感想が聞かれました。
※公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法:この法律により公立学校の教員には給料月額の4%の教職調整額が支払われている。
講師:人間社会研究域法学系 講師 石尾 智久
人間社会研究域法学系 准教授 早津 裕貴