「令和3年度JST共創の場形成支援プログラム(COI―NEXT)共創分野本格型(プロジェクト期間10年)」に,金沢大学理工研究域生命理工学系の髙橋憲司教授がリーダーを務めるプロジェクト「再生可能多糖類植物由来プラスチックによる資源循環社会共創拠点」が採択されました。本格型への応募件数は18件,採択件数は2件で,金沢大学はそのうちの1件です。
本プログラムは,大学などを中心として,企業や地方自治体?市民などの多様なステークホルダー(※1)を巻き込んだ産学官共創により,国連の持続可能な開発目標(SDGs)に基づく未来のありたい社会像を拠点ビジョンとして掲げ,その実現のため具体的かつ到達可能な駆動目標(ターゲット)を設定し,この達成に向けた研究開発と産学官共創システムの構築を一体的に推進します。これにより,知識集約型社会をけん引する大学などの強みを活かし,ウィズ/ポストコロナ時代の未来のありたい社会像実現を目指す,自立的?持続的な産学官共創拠点を形成します。
金沢大学が提案した拠点では多糖類農業廃棄物(※2)を資源として捉え,プラスチックごみを生み出さないバイオプラスチック製品を用途に合わせてリデザインします。適切な量だけ生産し,使用後に回収して再生することで無駄なく使い続ける,バイオプラスチック循環プラットフォームを構築します。そのプラットフォームが,さまざまな世界地域へ,樹木の年輪のように拡大成長し,大量生産,大量廃棄による暗黒の未来を防ぎます。拠点の循環型プラスチック製品の社会実装により,企業と使用者の価値観が変わるイノベーションサイクルを回して,様々な問題解決につながるモデルを示します。
これらのサイクルを,まるで協奏(共創)曲のように奏でることで,ポストコロナ社会を見据えた資源循環共創社会と「価値観のイノベーション」を実現し,人々を幸せにするSDGs目標達成に,スピード感を持って貢献します。
【用語解説】
※1 ステークホルダー
企業が経営をするうえで,直接的または間接的に影響を受ける利害関係者。
※2 多糖類農業廃棄物
セルロースや澱粉などを含む農業廃棄物のこと。
研究者情報:髙橋 憲司