金沢大学新学術創成研究機構の米陀佳祐助教と菅沼直樹教授らの研究グループは,自動運転自動車で活用される交通信号を遠距離から正確に検知するための新しいアルゴリズムを開発しました。
自動運転は,近い将来,私たちの生活に欠かせないものとなる技術の1つです。すでに公道での実証実験が実施されるなど,その実現に向けて日々開発や試験が行われていますが,社会全体に普及するためにはさまざまな課題を解決する必要があります。その1つが交通信号の検知です。特に,都市部の環境においては,さまざまな乗り物やビルなどに設置されている発光物体などがあり,それらの中から交通信号を素早く正確に捉え,瞬時かつ適切に車の加速?減速につなげるアルゴリズムの開発が必要とされています。
本研究では,そのような都会の環境であっても,150メートル離れたところから正確に交通信号を検知するアルゴリズムを開発しました。このアルゴリズムを使用することで,自動運転自動車の搭載カメラで捉えた解像度が10ピクセル以下の大きさの信号灯および矢印灯を検出することが可能となります。その結果,車体周辺状況や目的地への道順情報などを考慮しながら,スムーズな自動運転走行ができるようになります。
本研究成果は,デジタル地図を活用することにより信号灯に加えて矢印灯の状態を高精度かつ低処理負荷で認識可能であることを示すものです。今後は,市街地での自動運転自動車の円滑な交差点走行技術の発展につながることが期待されます。
本研究成果は,2020年2月21日(中央ヨーロッパ時間)に国際学術誌『Sensors』のオンライン版に掲載されました。
図1
自動運転自動車による信号灯?矢印灯の認識
図2
デジタル地図を活用した信号認識アルゴリズムの概要
【付記】
本研究は,内閣府総合科学技術?イノベーション会議 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/自動運転(システムとサービスの拡張)「自動運転技術(レベル3,4)に必要な認識技術等に関する研究」(管理法人:国立研究開発法人新エネルギー?産業技術総合開発法人(NEDO))によって実施されました。
研究者情報:米陀 佳祐
研究者情報:菅沼 直樹