金沢大学理工研究域物質化学系の山下哲准教授らと東北大学，理化学研究所および住友ゴム工業株式会社との共同研究グループは，トマトの生体防御物質前駆体であるネリル二リン酸（重合度2）を合成する重合酵素（NDPS1）の結晶構造を決定し，それをもとに重合反応の制御機構を解明しました。また，酵素の構造を改変し，より長鎖（重合度14）の自然界には存在しないイソプレノイドを合成することにも成功しました。
イソプレノイドと総称される天然化合物は，生体防御に関わる低分子化合物から分子量100万以上の天然ゴムに至るまで，全て炭素数5の基本構造を有する化合物が重合することで生合成されます。しかし，それらを合成する酵素がどのように重合度を制御しているかはほとんど未解明でした。
今回の成果は，新規バイオポリマー合成への発展が期待できます。
本研究成果は，2022年2月8日に生命科学分野の国際誌『The FEBS Journal』のオンライン版に掲載されました。
図1. NDPS1の結晶構造
図2. 各酵素による重合反応
図3. NDPS1変異体の構造モデルと特性の比較
研究者情報：山下 哲
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