ベトナム国家農業大学
2023年度 アジア〈ベトナム〉
K. M.(人間社会学域 国際学類 2年)
留学先、留学時期について
ベトナム国家農業大学に、3か月間の留学をしました。留学先を決めた理由は大きく2つあります。第一に、留学先を選ぶ時期に、農業や開発経済に興味があったから、第二に、できるだけ早く留学を実現し、その後の選択肢を増やしたいと考えていたからです。そのため、①農業や開発経済について学べる大学②当時の自分の英語力で語学要件を満たせる大学(準備期間の短縮を図るため)という条件で留学先を探し、結果としてベトナム国家農業大学を選択しました。
留学前の準備として、何をすべきか(すべきだったか)
留学先が決まったら、できるだけ早く、同じ留学先に行く予定の方や、すでに留学を終えて帰国した先輩とつながることで、安心して準備を進められると思います。学内での応募時期が同じでも、内定後の申請時期や方法は留学先の大学によって異なるためです。留学推進係に問い合わせれば、同じ留学先の方や先輩に連絡を取ってもらえ、相手の承諾があれば連絡先を交換することができます。
私の場合、金沢大学からベトナム国家農業大学に行った先輩や、同じ時期に留学する方はいませんでしたが、先方の大学職員の方から日本人留学生の連絡先を教えていただき、現地での生活や履修登録について助言をもらいました。
また、留学先の国のビザ取得方法を事前に調べておくと、手続きがスムーズです。先方の受け入れ許可を得たら、留学ビザを取得する必要があります。私は当初、大使館でビザを受け取る予定でしたが、在日ベトナム大使館と連絡が取れなかったため、手数料を払い旅行会社に代行を依頼しました。ビザが間に合わず、留学の開始が遅れてしまうケースもあると聞きますので、ビザ手続きに限らず、留学に関する情報収集は前もって進めることを強くお勧めします。
留学先について知っておくとよい情報
ベトナム国家農業大学では、留学の受け入れ条件として英語のスコア(IELTSやTOEFL)が求められますが、授業をしっかり理解したい場合には、ベトナム語の習得が重要だと感じました。
ベトナム国家農業大学は留学生が非常に少なく、約20,000人の学生が在籍している中、留学生はわずか50名ほどです。さらに、英語を話せる留学生はその中でも限られています。英語で開講されると案内された授業でも、他の学生が全員ベトナム語を理解できる場合、授業がベトナム語で進行することも珍しくありませんでした。
しかし、英語で開講される授業を履修しているベトナム人学生は、英語でコミュニケーションが取れるため、課題やテストの情報については英語でやり取りすることができ、必要な情報を把握することができました。
留学中に取り組んでよかったこと、その理由
課外活動に積極的に取り組んだことです。私はキャンパス内にある技能実習生の送り出し機関の職員の方と出会うことができたため、その建物に積極的に足を運びました。そこでは、日本に派遣されるべく言語や職業に関する訓練をしている方や、実際に技能実習生として日本に派遣された後にベトナムに帰国し、日本語を教えている先生などがいらっしゃいました。留学をする以前から、技能実習制度については興味があったため、このような機会に恵まれてとても嬉しかったです。そこで訓練をする方々と一緒に日本語を学んだり、食事をしたりすることで、充実した学生生活を送ることができました。
留学中の苦労、それをどのように乗り越えたか
言葉の壁に苦労することが多くありました。私自身、英語を勉強するのが好きで、英語で留学ができることを期待していたので、授業がベトナム語で進められた時にはショックを受けました。ただ、振り返ってみると、ベトナムの文化や言葉に対する理解を深める姿勢が自分には足りなかったのではないかと感じています。
その状況を乗り越えるため、言葉が少しでも通じる人とは積極的に関わるようにしました。例えば、英会話サークルに参加したり、英語を専攻している学生と親しくなったりしました。また、ベトナム国家農業大学が位置するハノイには、日本から派遣されているボランティアや日本企業に勤務している方々が多くおり、彼らのコミュニティに参加することで、不安を和らげ、新たな学びを得ることもできました。
留学経験をこれからどのように活かしていこうと考えているか
留学先で学んだことや現地の方とのつながりを活用して、現在はハノイから東海地方の町工場に派遣されている技能実習生の研究をしています。多文化共生の観点から、外国人労働者を受け入れる地域や企業はどのような体制を作っていく必要があるか、これからも探求していきたいと考えています。
卒業後の進路について
技能実習生の監理団体や企業の人事などに勤め、日本にやってくる外国人労働者の方の生活の手助けをしたいと考えています。
留学してよかったこと、成長(変化)したこと
研究や卒業後の進路、今後の大学生活の過ごし方に関して選択肢や視野が広がったことです。留学先での技能実習制度に関する勉強を通して、現在は多文化共生について理解を深めたいと考え、移民を多く受け入れているオーストラリアに留学をするために準備を進めています。
派遣留学を志す後輩へメッセージ
派遣留学プログラムに応募する前の情報収集が、非常に重要だと感じました。可能であれば、実際にその大学に留学した先輩の話を聞いてから志望校を決めることをお勧めします。留学に関する情報収集や手続きは、想像以上に時間と労力がかかりました。そのような経験があるからこそ、先輩方が丁寧に情報提供してくれたのだと感じ、非常に感謝しています。
私もこれから留学を目指す方々に、先輩方から受けたサポートのように、さまざまなお手伝いをしたいと考えています。積極的に情報を集め、素晴らしい留学生活を送っていただきたいです。