サラマンカ大学
2023年度 ヨーロッパ〈スペイン〉
M. K.(人間社会学域 国際学類 3年)
私は大学3年時、2023年9月から2024年2月まで半年間のスペイン、サラマンカ大学派遣留学を経験しました。私は高校生の頃より中南米のラテン文化に強い興味関心を抱いており、大学ではスペイン語を習得することを切願し本大学、本学類への受験を決めました。大学入学後は第二外国語の授業でスペイン語の初歩的な知識を学びつつ、独学でよりレベルの高いスペイン語学習を行いました。大学入学前より強く希望していたスペイン語圏への留学は金沢大学の協定校との兼ね合いもあり半年間のサラマンカ大学留学という形で実現されました。私がスペイン内の候補大学からサラマンカ大学を選択した理由は主に2つあります。1つ目はサラマンカ大学、そしてサラマンカという町自体が持つ歴史です。サラマンカ大学はスペインの中で最も歴史がある大学であると同時に、歴史的な偉人を多く輩出してきました。またサラマンカという町はその歴史地区自体がユネスコの世界遺産に登録されているほど歴史的に大きな価値を持つ町です。そのような町、大学で留学生活を経験することは間違いなく私にとって心惹かれるものでした。そして2つ目の理由はサラマンカ大学が提供するスペイン語教育の質の高さです。留学前に担当教諭よりサラマンカ大学における言語教育の質の高さを知り、スペイン語の語学力向上を留学の大きな目標にしていた私にとってサラマンカ大学はうってつけの留学先であると考えました。
また先述の通り私の派遣留学は半年間と、他の学生に比べ比較的短いことが特徴です。私がなぜ1年ではなく半年の留学期間を選んだのかというと、私が当時目指していた卒業後の進路との兼ね合いが大きく関係します。私は留学前より外務省専門職を志しており、リモートでの専門学校にも通っていました。外務省専門職試験は非常に難関であり合格するためには2,3度の受験を前提とするため5年卒業でなく、4年卒業が適切であると判断し4年での卒業が可能な半年間の派遣留学を選択しました。
私は留学前、人1倍スペイン語学習に取り組んでいたという自負がありました。1年時よりDELEやスペイン語検定といったスペイン語外部試験のためのスペイン語学習をベースに1日2時間程度のスペイン語学習を欠かせませんでした。そのかいもあり留学前の第3学年4月に受けたDELEでは留学前の目標としていたB2レベルに合格し、自分自身のスペイン語能力というものに大きな自信をもって派遣留学を始めることができました。しかしながら現実ははるかに厳しいものであり、現地の学部生に交じって行われるスペイン語での授業は予想をはるかにしのぐスペイン語のスピード、使用単語の難解さ、授業内容の専門性の高さで私が留学前に持っていた自信をことごとく打ち砕くほどでした。私が日本であれほどこだわっていたDELEの獲得スコアはそこではただの紙切れに過ぎず、これから半年間どのようにしてスペイン語での授業についていき、最終的にはテストに合格するのか皆目見当もつきませんでした。そこで私は授業に取り組む姿勢を大きく変えてみることにしました。これまでの「授業内容を理解しようとする」意識から、「60分間のリスニング特訓」という意識へと変え、まるでリスニングのシャドーイング練習をするかのように60分間、ただひたすら教授の口元を注視しそれを自らでシャドーイングすることでリスニング力の向上のみを目指しました。もちろん授業の後には、授業スライドを用いて復習を行い、授業中放棄していた授業内容の理解に勤めました。この方法を半年間続けた結果、当初はまるでスペイン語に聞こえなかった教授の話も、耳から入ってくる情報のみで授業の大まかなアウトラインは捉えられるようになりました。私がここで伝えたいことは言語学習について、留学生活のどの様な場面においても学習機会、学習のチャンスは見出すことができるということです。外国への留学を経験するほぼすべての学生が言語面での問題を抱えると思います。問題に直面した時に、ただそこに立ち尽くすのではなく、自ら成長の機会を探し出す謙虚な姿勢は言語学習において必ず必要なことであると考えます。必ず解決できます。頑張ってください。