カレル大学
2023年度 ヨーロッパ〈チェコ〉
N. Y.(人間社会学域 国際学類 3年)
留学先、留学期間について
私は2023年の9月から2024年の6月まで約10か月間、チェコの首都プラハにあるカレル大学に留学していました。大学に入った当初から、留学に行ってみたいと考えており、かつ英語が母語ではない国への留学に興味がありました。ただ、英語以外の言語が堪能ではなかったため、授業は英語で受けられる、ということが必須条件でした。もともと違う国への留学を考えていましたが、結果的に第2志望であったチェコへの留学となりました。第2志望をチェコにしていたのは、チェコに行ったことのある親戚がおり、良い国と言っていたのが印象に残っていたのと、きれいな街並みに惹かれたという、正直なところ単純な考えでしたが、留学を終えた今チェコを留学先に選んで良かったと自信をもって言えます。
留学前の準備として、何をすべきか
留学前にやるべきこととしては、英語のスコアを取っておくことと、ビザの手続きをなるべく早めにしておくことが挙げられます。
英語のスコアに関しては、カレル大学ではCEFRのB2レベル、IELTSでいう5.5という条件があります。私は1度目のIELTS受験で5.5を取得できましたが、留学先の候補にさらに高い条件を課している学校があったため再度受験し、6.0というスコアで留学に臨むことになりました。
ビザの取得に関しては、私は発行が間に合わない可能性があったため、長期滞在許可でチェコへ入国しました。長期滞在許可でも生活に差支えはありませんが、現地での手続きが必要になるのと、そのために費用がかかるため、ビザを取得できるに越したことはありません。チェコへの留学が決まり次第、ビザの申請の流れや必要な書類等を確認しておくこと、そして入学許可証が届き次第すぐに大使館の予約を取ることをお勧めします。
留学先について知っておくとよい情報
チェコに留学するにあたっては、やはり言語の壁が大きいと思います。挨拶やちょっとした単語を少しだけでも覚えておくと特に留学生活の初期に心強いと思います。私は言語が学べるアプリや、チェコ語の文法書を買って少しだけ勉強していきました。ちなみに、チェコ語の文法書は現地でも買うことができますが、もちろん日本語で解説されたものは手に入らないので、持っていくと英語の解説であやふやなところがあったときに役立つと思います。
留学中に取り組んでよかったこと
留学中に取り組んでよかったことはチェコ語の勉強です。カレル大学では、留学生向けにチェコ語の授業が開講されています。日本語とも英語とも全く違う言語を学ぶことは大変でしたが、チェコに留学しなければ絶対にできない経験をすることができたのはよかったと思っています。チェコ語のクラスをとっていたおかげで、チェコ語で話しかけられてもなんとなく買い物ができたり、英語があまり通じないであろう地方へ行くハードルも下がりました。また、授業は全員が留学生で、かつ少人数で行われるため、様々な人と話したりその人の国の文化を知る機会が多くあったのも良かったと思います。
留学中の苦労
留学中に悩みの種となっていたのは寮での生活です。お世辞にも綺麗とは言えない狭い部屋でのルームシェア、他の部屋からの騒音、初めての経験がたくさんありました。特に神経質な私にとって、パーソナルスペースがほとんどないルームシェアは精神的にきついものがありました。些細な事でも一度気にしてしまうとそれがずっと気になってしまったり、ルームメイトに自分の思っていることを伝えずに我慢してしまうという私の悪い癖もあり、最終的には1人部屋に移ることになりました。ルームメイトとは部屋を移る際にしっかりと向き合って話をして、遊びに行けるような仲になれたので良かったですが、もっと早く話し合いなり何らかの行動を起こす勇気が持てていれば、留学生活がより有意義になったのではないかとも思っています。
留学経験をこれからどのように生かしていくか
私は留学を通して、日本へ来る非日本語母語話者の方々の状況や気持ちを疑似体験できたのではないかと思っています。チェコと日本を比べると、英語が通じないことがある、思った以上に英語やその他言語の案内がない、などという点で似ていて、そのような状況のなかで日常生活を送ることの苦労を実感しました。今ますます日本にくる外国人の方が増えている状況で、このような悩みをもつ人は少なくないと思うので、そういった方の立場になって考え、手助けができればいいなと考えています。
卒業後の進路
まだ具体的には決まっていませんが、上でも述べた通り、日本を訪れる非日本語母語話者の方々のサポートができるような職に興味を持ったので、自分が本当にやりたいことを今後さらに追及していきたいと思います。
留学してよかったこと、成長したこと
留学を通して一番自分の糧になったのは、行動力をつけられたことだと思っています。当初は、自分が英語を話せるのか、そもそも英語が通じるのかが不安で、外出することをためらっていました。しかし、限られた留学期間を無駄にしたくない、という思いで見知らぬ土地や慣れない環境に飛び込む勇気を持つことができました。留学生活のなかであまり交友関係を広げることができなかったことが心残りなのですが、その代わりにヨーロッパ各地をひとりで旅行するなど、留学前には思いもしなかったことができていることに自分でも驚いています。また、旅行という観点からいうと、日本からの旅行先としては選択肢になりにくい場所に足を運ぶことができたのも良かったと思っています。チェコはヨーロッパの中央にあり、周辺国へのアクセスがとても良いのでおすすめです。
さいごに
留学先としてはマイナーな国への留学でしたが、マイナーな国だからこそ得られた経験、新しい視野があったと思っています。自分が全く知らない世界をたくさん見ることができ、ひとりの時間が増えたことで、自分が本当にやりたいことは何なのか、これからどうやって生きていくのか、自分を見つめ直したり深く考えさせられる瞬間が多々ありました。英語力や学業的な面での学びももちろんですが、人生を通して自分に影響していくだろうなというかけがえのない経験ができ、日本を飛び出してみて心の底からよかったなと思っています。「旅行」ではなく「暮らす」ことができるのは、今後の人生のなかであるかないかだと思います。留学を考えている方は、ぜひこの機会を逃さないでチャレンジしてみてください。