上海理工大学
2023年度 アジア〈中国〉
R. S.(自然科学研究科 環境デザイン専攻 D2年)
2024 年2 月24 日から7 月14 日までの5 か月間、私は金沢大学の博士課程の学生として上海理工大学で建築情報モデリング(BIM)技術に関する研究を行いました。この留学は、日本と中国の建設産業におけるBIM 技術の応用と人材活用を比較分析することを目的としていました。特に、日本の建設現場での管理人員不足を解決するため、中国の若手BIM 技術人材の導入可能性を探ることが研究の焦点でした。
留学先選定の過程は、私の指導教員との熟考と相談を経て行われました。上海理工大学がBIM 技術に関する先進的な研究と実践で知られていることから、この大学が私の学術目標とキャリアアスピレーションに最も適していると判断されました。
留学の時期は、博士課程の研究スケジュールと最も調和する形で選ばれ、春から夏にかけてのセメスターが選定されました。
留学前の準備として、私は日本の建設産業に関する広範な資料収集とアンケート調査を行いました。これはBIM 技術の現状と特に日本の建設現場での管理人員不足の問題に焦点を当てたもので、研究の基礎知識を形成するために不可欠でした。また、これらの情報を基に、留学中の効率的な打ち合わせ用の資料を準備し、研究活動がスムーズに進行するよう計画しました。
留学中の活動として、上海及び周辺地域にある複数のBIM 関連企業を訪問しました。これらの訪問では、最先端のBIM 技術がどのように現場で活用されているかを直接確認し、現地の技術者との議論を通じて日本の現場に応用可能な点を探りました。さらに、日中の建設産業におけるBIM 技術の適用例や、それによる効率化の具体的な成果について比較分析を行いました。
この比較分析から、中国のBIM 技術の応用は、特に大規模プロジェクトにおいて高度に統合されており、多様な専門分野間のコラボレーションが活発に行われていることが明らかになりました。一方、日本ではBIM の導入が進んでいるものの、まだ一部のプロジェクトに限定されており、全体的な導入への動きは比較的緩やかです。この知見を基に、日本の建設業界におけるBIM 技術の更なる活用と人材育成の必要性を提言しました。
研究活動以外にも、現地の文化や生活に触れる機会が多くあり、特に万里の?城への旅行は、中国の歴史と文化の壮大さを体感する貴重な体験でした。
留学中に遭遇した困難には、研究の具体的な進行に関する課題がありましたが、留学先の担当教員が非常に熱心にサポートしてくれました。彼らの専門知識と指導のおかげで、研究を計画通りに進めることができ、数多くの技術的な障壁を乗り越えることが可能となりました。
中国の生活は非常に便利で快適であり、留学生活を通じて多くの友人を作ることができました。バスケットボールを通じて得た友人たちとの交流や、地元の食堂での美味しい食事は、留学生活の楽しみの一つでした。これらの食堂では、手頃な価格で様々な地方の特色ある料理を楽しむことができ、中国の生活の利便性と豊かな食文化を体験することができました。
帰国後、私は得た知識と経験を生かして、金沢大学での研究に更に磨きをかけることができました。また、卒業後の進路として、中国で教職に就くことと日本での起業を目指しており、留学経験がその両方において大きな助けとなると考えています。留学を通じて、技術的なスキルの向上だけでなく、自己成?を促す多くの刺激を受けたことで、より広い視野を持つことができるようになりました。
最後に、これから留学を考えている後輩たちに向けて、留学は多くの挑戦と同時に大きなチャンスがあることを伝えたいです。異文化の中で学ぶことで得られる知識と経験は、どんな教室の中で学ぶよりも深いものです。積極的に異文化に触れ、広い視野を持って挑戦してください。後輩たちには、ぜひ中国での留学をお勧めします。中国の便利な生活環境、豊かな文化、そして学術的な機会は、皆さんの視野を広げ、学問的な追求を深めるための絶好の機会を提供します。