シェフィールド大学
2023年度 ヨーロッパ〈イギリス〉
N. S.(理工学域 地球社会基盤学類 3年)
私は2023年9月から2024年6月までの10か月間、英国のシェフィールド大学で交換留学をしていました。自分の設計した建築をVR空間上で表示することと、より実践的な設計演習に取り組むことを目的に留学しました。私はまず、英語で授業が受けられる大学で、学部生向けの建築の授業が取れる大学を探し、最終的に英国内で建築分野に強いシェフィールド大学を選択しました。
留学前の準備
私は留学前、学部が出している語学要件を満たすためにIELTSの勉強をしていたのですが、スピーキング、ライティングの項目の点数が伸び悩んだため、もっと早くからIELTS対策を始めればよかった…と後悔したことから、留学を考えている人は低学年のうちから試験対策を行うとよいと思います!語学以外の専門科目を勉強する予定の方は、専門単語についても調べて勉強しておくとよいと思います。また、現地ではイギリス英語を話す人が多いため独特なアクセントに慣れるために、イギリス英語のコンテンツに触れておくとイギリスに行って聞き取れない…という事態を防げると思います。勉強以外の準備で特に苦労したことは、シェフィールド大学への申請の手続きの進捗が遅かったため、ビザを申請する期間に余裕がなく、優先的にビザを発行してもらうよう別途料金を払うことになりました。また、住居に関して、探していた条件下での大学の寮は家賃が少し高かったので、友人の勧めでプライベートの学生向けの寮を契約しました。出国前にできることについては、留学先の治安状況や留学先の住まいに何が備わっているか事前に確認しておくとよいと思います。
留学中の生活
留学中は、やってみたいこと?行ってみたい場所など自分の興味の赴くままに行動できたことが充実した留学生活につながりました。具体的には、Japan Societyの集まりに参加し日本人や日本語を勉強している現地の友人を作ったり、大学主催のボランティアやイベントに参加したりしていました。日本語を勉強している学生と出会い、私が日本語を教える代わりに英語レポートの添削をしてもらったり、日本人の友達と一緒に欧州旅行に行ったりと集まりをきっかけに交流の輪が広がりました。留学先ではフットワークを軽くして、私はなるべくたくさんの人と関わる時間や機会を大切にしていました。
しかし留学初期は、イギリス英語で受ける授業に苦戦し、先生に自分の設計案を上手く伝えることができずにもどかしい気持ちになっていました。さらに、私は学部2年生の講義を履修していたため、現地の学生が前年度に習ったモデリングソフトについて、自分だけ操作の仕方が分からず授業中途方に暮れてしまったこともありました。私は授業に受けるまでに補う知識が必要だと思い、講義後に先生に質問に行き、チュートリアル動画やwebサイトを参考に授業外での自己学習に努め、それでも分からない操作は同じ学部の友人に教えてもらっていました。その結果、課題の提出が終わる頃には十分に建築系ソフトを使いこなせるようになっていました。私は全てのモジュールで、日本人がクラスに一人という状況の中、現地の学生とともに授業を受けており、秋学期は同じ学部で仲の良い友人を作るのに苦戦しました。また、授業の一環としてグループで活動することがあり、ネイティブ同士の話し合いについていけずグループ活動に貢献できていないような気がして、気分が沈んでしまったこともありました。それでも、勇気を出して自分から挨拶をしたり話をしに行ったりすることで、徐々に知り合いが増え彼らと講義室内で話すことも多くなり、イギリス人の友達と映画を見に行ったり一緒に夕食を作ったりと遊びに誘ってもらい、次第に彼らと親密な関係を築けるようになっていきました。自費でしたが、建築学部が主催するアムステルダムへの旅行では、集合住宅プロジェクトや建築事務所を訪れることができ、興味深い建物を見ることができたのと同時に、自由時間には友達とサイクリングをするなど観光も十分に楽しむことができました。春学期が終わる頃には同じ学部に多くの友人ができ、最後のお別れ会を開いてもらいイギリス料理を持ち寄ってごちそうをしてくれ、寄せ書きの手紙まで書いてもらいました。
実際に現地で生活してみて、やはり言語や文化の壁というものは大きかったです。日本から遠く離れた異国で家族や友人と離れて暮らすことで、寂しさや不安から精神的に辛くなる時期もありましたが、それらを乗り越える度に自分が強くなったように感じています。私は英国滞在中、国内外問わず多くの場所を旅行してきましたが、その中で様々なトラブルに遭い、そんなときに解決策として別の手段を考えることで物事に柔軟に対応できる力がついたように思えます。さらにシェフィールド大学での授業を通して、CADをはじめとする複数の建築系ソフトが使えるようになり、今後金沢大学での設計演習で、現地で学んだ知識やスキルを活かし自分の設計に役立てられるような大きな学びを得ることができました。
留学を振り返って
帰国後は、これから海外へ留学に行く学生に自分の経験をもとに情報発信をし、金沢大学に来ている外国人留学生のサポートを行っていきたいと考えています。また、イギリスで建築を専門に学んだことで、自分自身さらに建築設計に関して知識を広げたいと思うようになったため、大学卒業後は大学院に行き専門性を深め将来は建築士として日本の都市の発展に努めたいと考えています。
さいごに
留学中は思いのほか時間があるため、どんなことに時間を使うかは個人の自由ですが、普段より勉強に専念したり、大学のサークルやイベントに参加したり、週末には新しい場所に行ってみるなど、時間を有意義に過ごしたり、そのときにしかできない貴重な経験をできる限りやってみることをおすすめします。
実際に留学に行ってみて、家族や日本食が恋しくなったり現地での授業に苦戦したり辛いことも経験するだろうと思います。思い描いていた理想の留学とは全く異なっているかもしれません。私はイギリス人の友人数人と話している途中で、よく迷子になり彼らが何のことを話しているか戸惑うことも度々遭遇しました。育ってきた環境が違うため、話についていけないのは仕方がないと思って、私が彼らに「それってどういうこと?」と質問すると、丁寧に教えてくれたので、聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥ではないですが積極的な姿勢を心がけましょう!また、自分の英語が間違っていることを気にせず、どんどん話していくと話す力も伸びると思いますよ!