ユバスキュラ大学
2022年度 ヨーロッパ〈フィンランド〉
Y.H.(人間社会学域国際学類 4年)
Moi!私は2022年8月~2023年5月までフィンランドのユバスキュラ大学に留学していました。私は、留学ではジェンダーについて学びたいと思っていたので、男女共同参画社会の先進国やLGBTQ+フレンドリーな国として知られているフィンランドを留学先として選びました。また、「世界一幸せな国」と言われているフィンランドにも興味があったり、オーロラを自分自身の目で見てみたかったりしたので、フィンランドは私にとってベストな選択だったと思っています。しかし、後ほど少し書きますが、私は留学へと踏み切るのに少し時間がかかりました。それでも留学を諦めきれず、やっぱりフィンランドに行こう!と決断できたのは、先生や友人、家族の後押しに加え、先輩方の報告書があったからです。私もこれから留学を目指す皆さんの後押しをできるように、ユバスキュラでの留学生活を報告したいと思います。
留学前
文字数の都合で、留学前に重要な在留許可申請と言語学習については割愛させていただきます。他の方たちが書いてくれていると思うので、是非そちらを読んで、早め早めの準備を心掛けてもらえると幸いです。
留学前に関して私が特に伝えたいことは、「留学先選び」です。留学前はやるべきことが多くありますが、留学の土台となるここが個人的に最も重要だと思います。できる限り、「留学で何を学びたいのか、それを学びたいならどの国·大学が良いか、なぜその国·大学なのか」を明確にしておくと良いです。これらが明確であればあるほど、モチベーション維持ができると思いますし、留学生活を有意義なものにできると思います。もちろん、留学したい!自分の視野を広げたい!という気持ちで留学することもとても素敵だと思います。そのような場合は、各国で体験できることや各大学の授業を調べて、一番惹かれた場所を留学先に選ぶと、留学後に得られるものが変わると思います。できる限り、何となくではなく、ここに行きたい!ここで学びたい!という気持ちを大事に留学先を選んでいただきたいです。
大学·授業について
私は社会科学部という学部に所属し、ジェンダー学やコミュニケーションを中心に幅広く授業を履修していました。特に、秋学期は英語で受講できるジェンダー学のコースが多かったので、学びたいことを思う存分学べました。また、ユバスキュラ大学はHilmaというジェンダー学のコミュニティに属していたので、オンラインやオンデマンドで他大学の授業に参加できます。私はHilmaを通してヘルシンキ大学とトゥルク大学のコースも受講しました。フィンランドでのジェンダー学の授業は、自分自身の体験や考えを共有することがメインだったので、自分とは生まれた国も環境も違うクラスメイト達の多様な意見に触れることができ、とても良い刺激になりました。
春学期は、私が履修したいと思ったジェンダー学はほとんどフィンランド語で開講されていたので、残念ながらジェンダーがメインとなった授業は履修できませんでした。しかし、社会科学部の授業は、メインの題材としてジェンダー問題を取り上げずとも、自然にジェンダーに関する話題が出てくるものが多く、異なる角度からジェンダーについて考えることができました。
授業全般に言えることですが、課題や予習の量は想像以上に多いし大変です。また、ディスカッションに参加しても上手く自分の意見が言えず、私は何度も悔しい思いをしました。私は、悩んだときや分からないときは、周りに相談したり、先生に質問をしたりして、少しでも理解できるように心がけました。分からないことは決して恥ではないし、どんなことを聞いてもみんな優しく助けてくれるので、安心してください。
1年を通して取り組んだのは、Each one Teach oneという自分と母国が違う生徒とペアを組んで、週に数回母国語の教え合いをする活動です。私は、フィンランド人の友人とペアを組み、日本語とフィンランド語の教え合いをしました。この活動では、言語だけではなく、お互いの国の文化や料理についても学ぶことができるので、皆さんにもユバスキュラ大学に留学する際には是非参加してもらいたいです。私は、フィンランド人のEOTOパートナーから、ユバスキュラでの過ごし方、フィンランドの行事、伝統料理などを沢山教えてもらいました。帰国後の現在、私にとってEOTOパートナーは、離れていても様々なことを相談し合ったり報告し合ったりできる存在になっています。そんなかけがえのない友人に出会えるのも、Each one Teach oneの魅力です。
授業以外の生活
放課後や休日は、ESNという学生団体が主催しているイベントに参加したり、友人とカフェに行ったりしました。また、仲良くなった友人たちとお互いの国の料理を教え合うちょっとしたホームパーティをホストすることも多く、美味しくて楽しい思い出も沢山あります。また、映画館ではフィンランド語とスウェーデン語の字幕を体験できるので、1回だけでも行ってみることをお勧めします。
また、私が参加して良かったと思っている活動は、フィンランド人と移民(留学生含む)の交流サークルです。週に1回集まって、お菓子作りをしたり、美術館巡りをしたりしました。主催者の友人と活動内容を考えることも楽しく、とても良い経験ができました。
もう一つ心に残っているのは、Art & Wellnessというピアサポートグループへの参加です。幸福の国らしく、フィンランドでは心の健康がとても重視されています。このグループでは、様々なアートに触れながらウェルビーイングについて考えることができました。こちらは週1回全8回程度の活動だったのですが、フィンランド流の幸せの探し方に触れることができ、とても充実した気持ちで活動を終えられました。
このような活動を逃さないために、大学からのメールはこまめに確認することをお勧めします。
留学と就職活動
通常3年生のタイミングで留学する人が多い中、私は4年生のタイミングで留学したので、それについても触れたいと思います。金沢大学入学当初は3年生で留学するつもりでしたが、コロナ禍でタイミングを見失い、就職活動も迫っているということで留学は諦めていました。それでも留学の夢を捨てきれず4年生で出発することになったのですが、就職活動はどうするのかという問題と不安が浮上してきました。留学開始前は、留学中に就職活動を始め、5年生の6月ごろに帰国し、5年生の3月に卒業するつもりでいました。しかし、私の場合は上手く留学と就職活動を両立できず、このままでは留学に悔いが残ってしまうと思い始めました。友人に、「あなたは留学という今しかできないことをしているんだから、思う存分楽しまなきゃ!就活は今じゃなくても良いんじゃない?」と言ってもらえたことで、改めて自分の目的を再確認して、留学に専念することができました。
留学を終えた現在は、当初の予定より1年遅らせた6年生で卒業することを決断し、就職活動に時間をかけています。私のやり方が正しいのかは分かりませんが、就職活動を理由に4年生で留学に行くか迷っている人は、私を一つの例として参考にしていただけると嬉しいです。留学は必ず皆さんにとってプラスの経験になると思うので、不安はあると思いますが、自分を信じて進んでほしいです。
最後に
留学では、勉強ももちろんですが、現地でしかできない経験·見られないものが多くあります。今思い返しても、フィンランドで過ごした10か月は今までで一番充実していた10か月でした。留学を終えて残るのはかけがえのない思い出と友人です。大変で苦しい思いもしましたが、それらが私を成長させてくれたし、留学で得たものにマイナスのものは1つとしてありません。漠然と留学したいと思っている人も、この国でこれを学びたい·したいと思っている人も、少しでも興味があるなら是非新しい世界に飛び込んでください!
私の体験記が少しでも皆さんの後押しになれれば幸いです。