カレル大学
2022年度 ヨーロッパ〈チェコ〉
Y.Y.(融合学域先導学類 3年)
はじめ
私はチェコ共和国の首都プラハに2022年10月から2023年の5月まで留学していました。通っていたのはカレル大学の教養学部というところで、先導学類と同じように様々な種類の講義の中から自分で選択したものを受けていました。チェコを留学先に選んだきっかけは、正直ぼんやりしたものです。英語の勉強ができるヨーロッパ圏だったらどこでも良いと思っていたので、国際系の大学に通っている姉のアドバイスから選択肢を絞り、その中から適当に選びました。こんな適当なきっかけで行くことになった国は、結果としてヨーロッパで最も住みやすいと思えるほど大当たりでした。街並みが美しく、治安も良い、また物価も安いという海外慣れしていない日本人に優しい国です。13カ国旅行した私のお墨付きです。
留学前の準備
まず英語圏に留学する場合、IELTsかTOEFLで学校が定める基準点を満たす必要があります。留学前の私は、国にこだわりがなかったためIELTs overall5.5という留学できる最低点を目指し受験しました。結果、1回目はその点数すら取れず2回目を受けることになってしまいました。受験料も3万円と非常に高額なため、皆さんは1回で受かるように勉強することを強くお勧めします。また、必要点に満たなかった時のことを考え、留学受付締め切り日から余裕のある日程で受けた方が良いです。それ以外の準備で言うと、VISA申請を最速で開始するということです。私は、申請に必要な書類がカレル大学から送られてきてすぐに大使館の予約をしましたが、それでもVISA発行に時間がかかり渡航日を遅らせることになりました。私の周りの多くは、VISA発行が間に合わず、渡航後に隣国であるスロバキアの大使館までVISA申請をしに行っていました。
留学先について知っておくこと
公共交通機関の乗り方と、日本から持っていくべきものだけは最低限調べておくことをお勧めします。知っておいた方が良いことに、治安や文化などがよく挙げられますが、プラハの場合ネットに載っている情報と私が体感したものが異なっていたので必須ではないかもしれません。マイナーな国であるチェコ共和国はネットで発信されている情報が古い場合が多いので、もし情報収集するなら現地の人のSNSで行ったほうが良いと思います。
留学中に取り組んでよかったこと、その理由
英語力の向上や様々な国の老若男女と話してみたいなら、Facebookなどで募集しているLanguage Exchangeというイベントに参加してみてください。恐らくどこの国でも毎週行われているイベントなのですが、自分の練習したい言語のテーブルに着いてただひたすら雑談を行うというものです。私はこれで、英語力も度胸も現地の人しか知らない知識も身につけることができました。大人数で英語を話す練習には最適だったので、参加して良かったと思っています。
留学中の苦労、それをどのように乗り越えたか
右も左も英語もチェコ語もわからない環境は、皆さんの想像通りひどく苦労しました。留学中1番辛かったのは、優しそうな人がまずチェコ語で話しかけてくれても理解できず、それに気を利かせて英語にしてくれるがそれも分からないため、諦めて私の元から離れていってしまう時でした。自分の英語力の低さが招いた事態で、自分を責めてしまい、そのせいで消極的になりさらに英語力が伸びなくなるという負のスパイラルに入っていました。私は、それを自分へのハードルを下げることによって乗り越えました。極端な例だと、「言語の伝わらない国でも生きていて偉い」みたいなものです。留学先には、自分より英語力が高い人が無数にいるため、そういう人とばかり自分を比べてしまうと、いつまで経っても自信が付かず消極的な生活になってしまいます。だったら、とにかく自分を褒めて鼓舞することによって、メンタルケアしつつ自信を持ち、色々なことに積極的に挑戦できる方が自分のためになると思います。
留学経験をこれからどのように生かしていこうと考えているか
日本が誇る文化や技術を世界に発信したり、サポートするような活動を行ったりしたいと考えています。具体的な活動としては主に2つ挙げられます。1つ目は、金沢大学に留学している学生との交流や支援を、留学生宿舎での生活を通して行なっています。海外の大変さを知っているからこそ、不安な留学生や旅行者などに私ができることを少しずつ行っていきたいです。2つ目は、日本の農家をサポートする学生団体の立ち上げです。ヨーロッパで日本の農作物の質の高さを肌で感じ、もっと日本の農家に正当な報酬が支払われるべきだと感じ行動しました。このような、海外に行くことで得た新たな視点は、海外だけでなく日本でも十分に活かすことができていると感じています。
卒業後の進路について
先ほどの話でもあったように、日本の文化や技術を発信できるような企業への就職を目指しています。これだと、どんな企業でも大体当てはまってしまいますが、あくまで私が留学を通して発信していきたいと思えたものを持つ企業に絞って就職活動を行なっています。就活生としてアドバイスですが、ただ留学に行っただけだとエピソードが弱いので、面接官の印象に残るような分かりやすい活動を留学先で行うと就活が楽になります。また、私は2年生から留学を始めたため4年間で卒業できますが、学類によってはそれでも難しいので留学期間や時期は気をつけてください。
留学してよかったこと、成長したこと、その理由
言語力や度胸はだけでなく、自分のステータスが全てワンアップしたように思います。自分でしか気付かないような些細な変化だけだとしても、それが今後の自信になるし、原動力にもなるはずです。かくいう私も、困っている外国人旅行者の手助けをしたり、学生団体の立ち上げをしたりなど、留学前では絶対に行なっていなかった活動をしています。留学を通してどう変化したからこうなれた、みたいなものは言葉に表せませんが、成長したということは胸を張って言えます。
派遣留学を志す後輩へのメッセージ
私は留学に行かない理由はないと思います。金銭面で言えば、金沢大学には給付金型の奨学金があるため、国を選べばほとんどお金がかかりません。私も留学費はほとんどそれで賄っていました。英語面で言えば、現地に行ってしまえば生きるために必死になって勉強するため、恐れる必要はありません。私は留学前、IELTsのspeakingが4.5と日本人の平均を下回るレベルで留学しました。しかも、渡航前の事前勉強は一切していません。こんな怠惰な私でも、留学中は英語の勉強に日々勤しみ、今では英語を話せます。留学へ行かない言い訳はもうやめましょう。とりあえず行ってみたら言語が通じなくてもなんとかなるし、そこそこ楽しめるはずです。そのそこそこの楽しさを、引き上げられるかどうかはあなた次第ですが、どんな結果でもその経験が日本でのあなたをより一層強くしてくれます。